ここでは、私が公務員になろうと思った理由、志望動機について書いてみようと思います。
志望動機と言っても、面接で話すような内容ではなく、もっと根本的で、ブラックな、本音の内容ですけどね。
まぁ、ちょっと長くなりますが、暇つぶし程度に読んでみて下さい。
ちなみに、ここで書いている内容は、当時27歳の若造の個人的な考えなので、「何も分かってないなぁ、コイツは」と思われるかもしれませんが、その辺は大目にみて「こんな奴もいるんだ」という気持ちで楽しんで頂けると幸いです。
なぜ公務員を志望するのか
公務員を志望される理由というのは人それぞれ、様々あります。
そして、表向きの志望動機、裏の志望動機、色々ありますよね。
もちろん私も、表向きの動機、裏の動機、持っています。
そして、表向きの志望動機はちょっと横に置いといて、ここでは裏の志望動機について書きます。
「あなたは、なぜ公務員になりたいんですか?」
こう聞かれたとき、「楽そうだから」「安定しているから」という理由が、私には少なからずあります。
でも、「楽」とか「安定」とか、漠然として分かりにくい。
漠然としているので、いまいち「公務員になりたい!」というモチベーションに直結しないです。
なので、私はそれについてじっくり考えた事があります。
「一体、何が楽?」
「一体、何が安定?」
そして…
「一体、何が公務員のアドバンテージ?」
公務員の仕事は楽なのか
まず「楽かどうか」に関しては、その人の主観に左右されすぎて、一般企業の社員より公務員が楽かどうかを比較する事はできないと思っています。
その理由の1つ目として、人間誰でも、自分が体験していることが一番辛く大変なことで、他人は楽そうに見えるため、自分が働き始めたら、どんな仕事でも、結局は「楽ではない」仕事に変化してしまう。
2つ目として、自分がやりたいと思って働けば、どんな条件でも楽しく、楽な仕事になるし、自分が嫌々働けば、どんな楽な仕事でも、辛く、大変な仕事になる。
実際、前の私の仕事は、自分が心からやりたいと思った仕事なので、家に帰れなかろうが残業しようが、楽しく働いていましたからね。
これらのことから、「楽かどうか」は自分次第で、客観的な基準は存在しないと思います。
「公務員の仕事は楽」というのは私も親などから言われましたが、単に世間一般に言われている幻想のようなものだと思います。
そのため、「楽そう」という動機では、公務員になりたいというモチベーションは向上しにくいですね。
公務員の休日や労働時間はどうか
では次に「休日や労働時間」についてはどうか。
公務員は「完全週休2日」「定時に帰宅」と世間一般には言われています。
これが本当なら、確かに良いですね。でも、それも大いに疑問です。
私の場合は週休2日は確保できていますが、同期や公務員として働く友人の方々の話を聞いてみると、部署次第だと分かります。
土日は毎週ほとんど出勤する部署、夜遅くまで残業する部署、逆に、定時に帰れるし、土日はほぼ確実に休みの部署…。
そんなに働くの!?とビックリしてしまうような方もおられます。
- ×公務員は「完全週休2日で定時帰宅」である
- ○公務員は「完全週休2日で定時帰宅」の部署もある
これは、一般企業だって同じ事だと思います。
つまり、休日や労働時間も、一般企業と公務員でどちらが良いかなんて比較できないと思います。
そのため、この「休日や労働時間」に関しても、公務員になりたいというモチベーションの向上にはつながりにくいです。
結局、公務員のアドバンテージとは
じゃあ、何が公務員のアドバンテージなのか?
私の行き着いた答えは、「倒産やクビの可能性が限りなく低い」ということです(ここでのクビとは、不祥事などを起こしたときの解雇ではなく、経営側からの一方的な解雇のこと)
これは、本当に大きいです。
では、なぜこれが非常に大きなアドバンテージだと思うのか。
「倒産」「クビ」というのは、自然災害のようなものです。
自分が何かするわけではなく、相手側からの一方的なアクションですからね。
自分は完全に受け身。
そして、受け身な訳ですから、これらのリスクを自分自身で管理する事は、ほぼ不可能。
管理できないリスクほど、恐ろしいものはありません。もう、成すがままです。
さらに恐ろしい事に、「倒産」「クビ」というのは自然災害と同じように、実際に発生しない限りリスクとして捉えていません。
普通であれば、「起こるはずがない」と考えて過ごします。
そのため、もし現実になったときには、完全無防備な状態ですから、絶大なダメージを受けます。
私は「クビ」に近い状況を体験させて頂いたので、その気持ちは軽く分かります(笑)
いつも通り働いているある日、「○月末で辞めて欲しい」と言われました。
平穏な生活から、切羽詰った状態への急展開です。
そうすると…
まず、頭が真っ白になります。
次に、「無職!?どうしよう!!」という、恐怖と焦りが混じったようなモノがこみ上げてきます。
最悪のシナリオ、最悪な未来映像ばかりが浮かんできます。
そして、焦りから視野が狭くなり、冷静な判断ができなくなります。
このような状態の中、「どこでもいいから転職したい」という気持ちが先行してきます。
そして、視野が狭まった最悪の状態で、行動に移そうとします。
私の場合、ここの時点で思いとどまり、自分の未来図を再構築して、全てのパワーを公務員試験に注ぐことに決めました。ダメだったらドンマイだと腹をくくって。
でも、あのまま視野の狭い状態で行動していたら…正直、危なかったです。自分にとって最高の未来を築く方向に進めなかった可能性がありますからね。
ちなみに、「倒産」「クビ」のリスクを管理する事は不可能と言いましたが、厳密には不可能ではないと思います。
毎日の生活を、いつ「倒産」「クビ」になっても大丈夫なように、資格とか能力とかを準備しておけば、そのリスクを管理することになります。
しかし、いつ「倒産」「クビ」になるか分からない(現実にならないかもしれない)のに、それに備えておくのは非常に大変。
というか、そんなモチベーション続くわけがないです。
かといって、「倒産」「クビ」にならないと考えるのは危険過ぎる。
経営側から考えて人件費はコスト。経営状態の改善において、コストカットは当然の流れです。
まして、今や巨大企業も経営破たんする時代ですからね。いつ現実化してもおかしくないリスクです。
さらに、企業形態が小さくなればなるほど、そのリスクは高まります。資金調達能力も大企業に比べると心細いですし、ワンマン企業であれば、一方的な理由での解雇だってあり得ます。
そして何より、もし「倒産」「クビ」が現実化したときには、自分の収入源を、つまり生活の命となるお金の流れを、一瞬で奪い去ります。
以上の話をまとめてみますね。
「倒産」「クビ」というのは…
「自分の生活基盤である収入源を一瞬にして奪い去るパワーを持つ、最も注意すべきリスク」であるが、そのリスクを消滅させることはできず、常に受け身の状態でそのリスクと向き合わなければならない。
そして、通常はそれをリスクとして考えることすらせず、リスクとして認識し対策を行うためには、燃え尽きることのない非常に高い意識が必要となるもの。
公務員は、この厄介な「倒産」「クビ」のリスクが極めて低い職業です。
個人的には、このリスクを背負うのは悪い事ではないと思っています。人間として成長する上で、良い効果をもたらしてくれますから。
しかし、このリスクと向き合うというのは神経を衰弱させるのも確か。
このリスクが無ければ、その分だけ、生活に余裕ができるのではないかと思います。
どちらが良いかは人によりますが、このアドバンテージは「公務員になりたい!」というモチベーションにつながると人もいるのではないでしょうか。
- 一般企業に就職し、定年までの35~40年間、この不確定リスクを抱えながら過ごす
- 数年の浪人リスクを負い、その後は公務員として、この不確定リスクを抱えずに過ごす
「倒産」「クビ」のリスクに着目すると、このような選択肢が出来上がりますね。
どうする!?どうする俺!?
私の場合、最初は起業という道を選び、「倒産」「クビ」の高リスクな状態から、社会人生活をスタートさせました。
その中で学べることはたくさんありましたが、ある時ふと思いました。
「例えば綱渡りの綱の上では思い切りジャンプできないのと同じように、これらのリスクを負っている状態では、自分の人生の目標を達成するためにジャンプできないのでは?」
じゃあ、どうするべきか?
まずは落ちるリスク(=倒産やクビ)のある綱の上ではなく、しっかりとした地面に立つこと。
「公務員になって、ジャンプできるか挑戦してみよう!」
これが、私の裏の志望動機の1つです。