私が勉強の初期段階として行った勉強方法は、「繰り返し勉強法」です。
ここでは、私が実際に作成した計画などを例に挙げながら、「繰り返し勉強法」の解説をしてみようと思います。
「繰り返し勉強法」とは何か
この勉強法は、その名のとおり、繰り返し問題演習を行っていくことで、勉強した知識をしっかりと記憶に定着させようという勉強法です。
「繰り返し勉強法」の大まかな勉強の進め方
- 解説書などを使い、その科目の感じをつかむ(1~2日間)
- 問題集を使い、問題演習をする
- 分からないところを、解答や参考書で確認
- また、同じ問題を演習
- 解答や参考書で確認
- 以下繰り返し
繰り返し勉強法のポイント1「問題演習を中心にした勉強の進行」
この勉強方法のポイント1つ目は、問題演習を中心に勉強を進めていくということ。
初めての科目の勉強を行う場合、参考書などを読み込むような勉強からスタートさせがちです。
これはおそらく、今まで受けてきた学校教育が「教科書→問題練習」という流れになっていた為に、身体に染み付いた勉強法だと思います。
でも、参考書を読み込むような勉強って、効果があるんでしょうか?
私にその効果の程は分かりませんが、本番の試験は問題を解く形式です。
つまり、本番の試験までにどのような勉強方法を行ってきたとしても、最終的には「出題された問題を解く」ことが必要になります。
「だったら、初めから問題演習を中心に勉強すればいいじゃん!」
というわけで、私はこの問題演習を中心にした勉強を行いました。
そして、問題演習をしても足りない知識は、参考書などを使って確認し、どんどん知識の肉付けをしていきます。
もちろん、初めて勉強する科目は、いきなり問題演習をしても全く解けません。
そのために、最初に簡単な解説書などを1~2日でざっと読むようにします。解説書は色々ありますが、予備校の講義をそのまま本にしたようなものが読みやすくて良いと思います。
ちなみに、私が解説書を利用した科目は「行政法」「民法」「ミクロ経済学」「マクロ経済学」くらいです。
あとの科目は、解説書などの事前学習なしで、いきなり問題演習から始めました。
そして、問題演習で分からないところは参考書を見たり、問題集の解説ページを見たりするだけで十分でした。
繰り返し勉強法のポイント2「繰り返し」
これが、この勉強法の最大のポイントであり、効果を発揮するところです。
これは文章で説明するのが非常に難しいのですが、例を挙げながら説明してみようと思います。
もし意味が分からないという場合は「短期合格者だけが知っている! 「一発合格!」勉強法」という本を読んでみてください。この本に載っている勉強方法です。
<前提条件>
勉強科目)国語、英語、数学、理科、社会
科目配点)国=5、英=4、数=3、理=2、社=1
試験まで)残り5ヶ月
*各科目30ページずつある。つまり、国語1~30、英語1~30、etc。
この「繰り返しの勉強法」を説明するためには、「一般的に行われる勉強法」と比較しながら考えるのが良いと思いますので、上記の前提条件を用いて比較しながら説明してみます。
一般的な勉強方法の場合
まずば全ての科目をまんべんなく勉強する「一般的な勉強法」です。
日単位の勉強内容は以下の通り。
これで、30日で全ての科目を1巡させることができました。つまり、1ヶ月で1順です。
そして、この勉強方法で試験本番まで勉強していくと月単位では以下のようになります。
本番の試験までに、全ての科目を5巡させることができました。つまり、全ての科目の繰り返し回数は5回です。
繰り返し勉強法の場合
では次に「繰り返し勉強法」です。
この勉強法では、科目の配点を考慮して、配点の高いものから優先的に勉強をしていきます。そのため、勉強の進行は以下の通りとなります。
1ヶ月間で1科目しか勉強が進まないので、少々不安な感じがありますが、最後まで読み進めてもらえれば問題はないと感じてもらえるのではないかと思います。
それではまず、日単位の勉強内容。
見てもらうと分かるのですが、国語1を5日連続で勉強、国語2を5日連続で勉強…となっています。
このように進めることで、すべてのページの勉強を5日連続で勉強することになります。(5日連続まででストップさせているのは、1日の勉強量を上記の「一般的な勉強法」と一緒にするためです。)
そして、このまま勉強が進んでいくと30日目以降には以下のようになります。
2ヶ月目に突入して、英語の勉強が始まります。
と同時に、また国語1、国語2・・・の勉強が入ってきました。
国語1を最初に勉強してから30日経ったので、覚えた知識をアウトプットする目的で国語の復習を取り入れていきます。
ここで、「30日目と31日目を比較すると、1日の勉強量が国語1の分だけ増えるから、勉強時間が増えるんじゃないの?」という疑問が出てくると思います。
しかし、これは心配いりません。そのトリックは後で説明します。
そして、このまま勉強を進めると60日目以降にはどうなるでしょうか。
3ヶ月目に入るので数学の勉強をスタートさせます。そして案の定、英語1、英語2…の復習も入ってきます。
それと同時に、また国語1、国語2…の復習が入ってきます。
もうお分かりですね。
- 新しく勉強する内容は5日連続で繰り返し勉強
- 以前勉強した内容は、最初に勉強した日から1ヶ月おきに復習
そして、この方法で5ヶ月間勉強を続けると、どうなるでしょうか。
その結果、繰り返し回数は以下のようになります。
配点が高い科目を何回もしっかり勉強していることが分かると思います。とても効率の良い勉強ができます。
繰り返し勉強法の注目ポイント
では、この繰り返し勉強法の注目ポイントは一体何か。
注目ポイント1「記憶定着の効果」
受験勉強をされている方なら聞いた事あると思いますが、人間の記憶に関して「エビングハウスの忘却曲線」というものがあります。
これを参考にして作った勉強方法が、この「繰り返し」勉強法です。
忘却曲線からすると、1ヶ月後には勉強した内容の79%を忘れ、たったの21%しか覚えていないことになります。
ほぼ全て忘れているのと同じですね(笑)
「一般的な勉強方法」を行った場合、各ページを1ヶ月おきに勉強することになり、前回勉強した知識はほとんど覚えていません。
毎回ゼロから勉強している状態と言っても大げさではないでしょう。
特に「初期の勉強」というのは、初めて勉強する内容ばかりで、記憶に定着していない状態の知識がほとんどです。
その状態で「一般的な勉強方法」を行ったのでは、いつまでたっても知識が記憶に定着しないので、初期の勉強には向いていません。(ただし、「一般的な勉強方法」には1ヶ月に全科目を勉強できるというメリットがあります。このメリットは中期の勉強で活用します)
そこで、「繰り返し」を使うんです。
初めて勉強する内容に関しては、数日間(例では5日間)連続して勉強することで繰り返す回数を増やし、一気に記憶に定着させるんです。
おそらく、2~3日繰り返せば答えや問題の解き方を暗記してしまうと思います。
私のイメージとしては以下のような感じです。繰り返し復習を行うことで、記憶定着度を高めて、忘れにくくするという感じです。
そして、更に記憶に定着させるために、1ヶ月おきに繰り返しながら勉強し、知識のアウトプットを行います。
これが、この勉強法の核の部分です。
記憶定着度は、繰り返し回数に比例します。
例えば「足し算」。1ヶ月間足し算をしなかったとしても、その計算方法を忘れる人は少ないと思います。
それは、今までに足し算の計算を繰り返してきた回数がケタ違いに多いからです。
そのため、覚えた知識を忘れてしまう前に何回も繰り返し、記憶に定着させる度合いを高めます。
特に、科目に優先順位をつけることで、得点したい科目の繰り返し回数を増やすこともできますので、勉強効率が良くなります。
ちなみに、私の行っていた「繰り返し」方法は以下の通りです。
- 初めての内容は、5日連続で復習
- 1週間後に復習
- 以後は1ヶ月おきに復習
エビングハウスの忘却曲線では、知識を記憶に定着させるための理想的な復習期間があったと思うのですが、私は上記のような独自の復習期間を設定して計画を立てました。
注目ポイント2「時間短縮トリック」
「繰り返し勉強法」の説明の中で「勉強量が増えても問題ない、そのトリックを後で説明します」と言っていたと思いますが、それをここで解説します。
ここでも、「一般的な勉強法」と「繰り返し勉強法」を比較しながら説明した方が良いと思いますので、例を挙げて比較しながら説明してみます。
まずは「一般的な勉強法」における勉強時間について注目してみます。
1ヶ月目の1日の勉強時間は5時間となります。そして2ヶ月目(2順目)になっても、エビングハウスの忘却曲線のところで見たように、1ヵ月後にはほとんどの内容を忘れていることのを考慮すると、1ヶ月目と同じくらいの勉強時間がかかります。
結局、1日の勉強時間は300分(5時間)となります。
では次に「繰り返し勉強法」ではどうか。
「一般的な勉強法」と比べて、5日目には同じ1日5ページの勉強をしていますが、勉強に必要な時間は170分(2時間50分)。
かなり短くなっています。
では、どうして同じように1日5ページを勉強しているのに勉強時間が短くなったのか?
その理由は、同じページを連日勉強しているから。連日繰り返して勉強すれば、記憶に残る知識が増えます。
当然、前日の勉強内容は覚えていますから、同じ問題でも解く時間は短くなります。
その結果、同じ勉強量でも勉強時間は短くなるんです。
こうして短縮された勉強時間によって生み出された時間を使えば、2ヶ月目には1ヶ月目の復習も加えて行うことができるようになるんです。
これが「時間短縮トリック」です。
「繰り返し勉強法」の計画の立て方
ここまで長々と「繰り返し」勉強法についての説明を行ってきましたが、次に計画の立て方について書いていこうと思います。
「繰り返し」勉強法の計画作成の流れは以下の通りです。
まず、「勉強科目を選ぶ」「問題集の細分化」に関してはそれぞれ別に記事がありますので、そちらを参考にして頂こうと思います。
そのため、ここでは「3.各科目の勉強消化日数を決める」から説明をしていきます。
3.各科目の勉強消化日数の決定
この消化日数に関しては、問題集の細分化で行った各科目の勉強で使うメイン問題集の単元数データと、試験までの残り日数をもとに、ざっくりと算出してみると良いです。
まだ確定の消化日数ではないので、ここはあくまで大体でOKです。
4.問題集の問題数から、各科目の消化日数を調整
ここでは、問題集の単元毎の練習問題の数をもとに、各科目の勉強消化日数を調整します。
1日の問題演習における問題数が、日によって偏りがないようにするために、単元の進め具合を調整していきます。
具体的に「ミクロ経済学の新スーパー過去問ゼミ」の一部を例に挙げて解説します。
以上のようなデータは、教材の細分化の作業で得ているので、これを使って1日の問題演習の問題数が偏らないように、単元の進め具合を調整します。その結果が以下の通り。
<1日目>
最適消費と無差別曲線=基礎 4問
代替効果と所得効果=基礎 4問、応用 5問
上級財と下級財=基礎 3問、応用 2問
合計 18問
<2日目>
消費者理論の計算問題1=基礎 5問、応用 4問
消費者理論の計算問題2=基礎 3問、応用 3問
合計 15問
<3日目>
需要と価格弾力性=基礎 4問、応用 5問
消費者理論の展開=基礎 3問、応用 3問
利潤最大化と費用関数=基礎 3問、応用 2問
合計 20問
<4日目>
損益分岐点と操業停止点=基礎 4問、応用 3問
長期均衡、課税と費用=基礎 3問、応用 3問
生産関数=基礎 3問、応用 3問
合計 19問
<5日目>
独占=基礎 6問、応用 5問
複占、寡占と独占的競争=基礎 6問、応用 4問
合計 21問
<6日目>
ゲーム理論=基礎 3問、応用 2問
市場の安定=基礎 4問、応用 3問
余剰(完全競争)=基礎 5問
合計 17問
このようにして単元の進め方を調整した結果から、各科目の消化日数に修正を加えていきます。こうして決まった消化日数に基づいて、科目の勉強を行います。
ちなみに、上記のように問題数を調整する際は、エクセルを用いると便利です。
また、その調整データはそのまま「繰り返し」勉強法の詳細計画の作成に利用しますので、消さずにとっておくといいです。
以下に私が作成した表を載せますので、参考にしてみて下さい。
5.「繰り返し」勉強のシミュレーション作成
各科目の消化日数が決まったら、それをもとにシミュレーションをしてみます。
シミュレーションとはどのようなものか、私の作った表を見てもらうと感じがつかめると思います。
まず、エクセルを使って、初期段階の勉強を終わらせる目標日までの日程表を作成し、その中に、科目のスケジュールを組み込んでいきます。
上記「繰り返し勉強法のポイント2「繰り返し」」のところでも説明しましたが、最初のうちに勉強した科目ほど勉強の繰り返し回数は多くなりますので、科目を組み込む際は、優先順位の高いものから順に組み込むようにしていくと良いです。
また、最初は繰り返しを考慮することなく、「最初の学習」を一通り作成してしまいます。
そして、「最初の学習」のスケジュールが作成し終わったら、連日復習のスケジュールを作ります。
このとき、「最初の学習」をコピーして、1日分ズラしながら貼り付けると簡単です。
連日復習について、私は4日連続させるように設定しましたが、自分の好きな回数で良いです。
あとは1週間復習、1ヶ月後復習、2ヵ月後復習…という具合に、同様の方法でコピペしていくと、シュミレーションの完成です。
好みによりますが、繰り返し回数を数えておくと、どの科目を何回繰り返し勉強できるか分かって便利です。
6.勉強の詳細計画の作成
いよいよ、ラスト。
「繰り返し」勉強法の詳細計画を作ります。
ここまで作成してきた「問題数の調整による単元の進め方」「シュミレーション」を用いて、何日目にどの科目のどの単元を勉強するかを具体的に決めていきます。
と言っても、シュミレーションの表に「単元の進め方」の情報をそのままコピーしていけば完成ですけどね。
以下に私の作った詳細計画の表(途中まで)を載せておきますので、参考にしてみてください。