ここでは、面接対策として行う自己分析のうち、「自分の考え」の自己分析方法について書いてみます。
「自分の考え」を自己分析するとは何か
私は個人的に「自分の考え」を自己分析するという作業が、面接対策の中でも最も難しいことだと思っています。
「自分の過去」「自分の人間性」の自己分析は、過去や自分の行動など、既に存在するものを整頓したり調べたりする確認作業です。
これに対して「自分の考え」を分析するというのは、既にしっかりとした考えを持っている人にとっては非常に簡単な作業ですが、そうじゃない人にとっては無から有を生み出す「発明」のような作業になります。
「自分の考え」というのは、
- 自分の中にたくさんの「情報」を取り込み…
- それを自分なりに「理解」して…
- 自分の中に無かった「新しい考え方」を作り出し…
- 最初は情報の受け売りだったものを…
- 少しずつ少しずつ「自分の言葉」に作り変えていき…
- 1つの「自分の意見」として洗練させていく
というものです。
このように、「自分の考え」を分析して面接試験に通用するものを作り上げるというのは、とても時間がかかる作業です。
直前になって「自分の考え」をまとめようと思っても、なかなか満足いくものは出来上がりません。
これだけ言うと「大変そうだ(汗)」と思うかもしれません。
でも、時間がかかるということは、逆に考えれば、「時間をかけるほど自分の考えが洗練されてくる」ということ。時間をかけるほど内容が良くなり、その場しのぎで対策した他の受験生に、大きく差をつけることができると思います。
そのため、出来るだけ早くから分析しておくことが、非常に大切!
最初は、一般論や情報の受け売りなど、光るものが無く、面接官を納得させるパワーはありません。
でも、早くから時間をかけて自分の考えをまとめ洗練していく事で、オリジナリティが生まれ、説得力が増し、面接官に「これは!」と思わせるパワーを持った内容になるはずです。
時間はかかりますが、これは他の受験生と戦うために必須の、強力な武器となります。
ステップ1:まずは現状の把握から始める
「自分の考え」を自己分析する上で、まず最初にやることは、現状を把握すること。
具体的には、「自分の考え」を聞いてくる質問に、実際に答えてみることです。
では、なぜ最初に現状把握を行う必要があるか。
「自分の考え」というのは、持っている人は持っているし、持っていない人は持っていません。また、持っている分野もあれば、持っていない分野もあります。
そのため、最初に「自分の考え」を聞く様々な質問に答えてみて、自分の中に「考え」があるかどうか把握する必要があります。そして、自分に足りない「考え」を明確にする必要があります。
では、面接試験で「自分の考え」を聞いてくる質問をいくつか挙げてみます。(これらの質問は、面接試験の「自分の考え」に関する質問の中で、私が答えを用意した質問の全部です。)
これを参考に、質問に答えてみてください。
- 「志望動機」
- 「公務員の魅力は何ですか?」
- 「公務員(自治体)(政策)に足りないところは何ですか?」
- 「自治体の取り組みで気になるところは何ですか?」
- 「やりたい仕事、行きたい部署は何ですか?」
- 「やりたい仕事、行きたい部署に行けなかった場合、どうしますか?」
- 「最近、関心をもったニュース、出来事は何ですか?」
- 「学生と社会人の違いは何ですか?」
- 「上司から間違った命令を受けた場合、どうしますか?」
- 「仕事と私生活、どっちが大切ですか?」
- 「なぜ~なんですか?なぜ~したのですか?」(自分の過去の行動の根拠も含め)
- 「~(少子化や高齢化などの社会問題)について、どう思いますか?」
どうですか?
それぞれの質問内容に対して「自分の考え」を持っていれば、スパッと答えられるはずです。
逆に、「自分の考え」を持っていなければ、全くと言っていいほど答えられないのではないでしょうか。
もう少し細かく言うと…
例えば、「公務員に足りないところは?」という問に対して、「○○が足りないと思います」と答えるのは簡単です。
でも、「なぜそう思うのか」という理由まで、しっかりと答えることができるでしょうか。
答えられないようなら、「自分の考え」を持っているとは言えません。
ここまで答えることができて、初めて面接官の心を動かす回答になると思います。
上記の質問に答えてみて、まずは自分に足りない「考え」を確認してみてください。
ステップ2:不足している知識を収集する
さて、自分に足りない「考え」を確認できたら、その足りない「考え」に関連する情報を収集することが必要になります。
最初の方でも少し説明しましたが、「自分の考え」というものが出来上がるまでには、「それに関する情報の取り込み」と「取り込んだ情報を自分なりに理解する」というステップが不可欠になります。
ただ、人間というのは情報を取り込みさえすれば、その情報を自分なりに理解するという行動は無意識に行います。
つまり「取り込んだ情報を自分なりに理解する」というステップは意識しなくても自動的に行われます。
ということは、現時点で上記の質問に答えられないということは、「その質問に関する情報が不足している」ということだと思います。
例えば、「志望動機」や「公務員の魅力は?」という質問に答えられない場合は、「公務員とはどんな仕事をしているのか?」という情報が不足している可能性があります。
他にも…
「行きたい部署は?」に関しては「どんな部署があって、どんな仕事をしているのか」という情報の不足。
「自治体の取り組みで気になるところは?」に関しては「自治体がどんな政策を実行しているか」という情報の不足。
「学生と社会人の違いは?」に関しては「社会人がどんな生活をしているか」という情報の不足。
が考えられます。そのため、これらの情報を収集していく必要があります。
では、どのように情報収集していくと良いのか。
これに関しては、申し訳ありませんが、私自身、「これが最高だ!」という良い方法は持ち合わせていません。というか、手っ取り早く情報収集できる良い方法は存在しないと思います。
私は、「自治体のホームページ」「書籍」「ニュース」「説明会」などで情報収集をしましたし、「知人」「親」「キャリアカウンセラー」など色々な方々から話を聞いて情報収集しましたし、実際に自分が行動して情報を収集しました。
時間がかかり、面倒と感じるかもしれませんが、とにかく地道に情報を収集することです。
唯一言えることは、上記で確認した「自分に不足している情報」をしっかりと認識して、必要な情報に的を絞って収集することです。
ちなみに、情報収集に終わりはありません。なので、予想以上に大変だと思います。
でも、情報を頭の中に取り込めば取り込むほど、「自分の考え」が素晴らしいものに変わっていきますから、時間をかけて、少しずつコツコツと行っていく必要があります。
ステップ3:知識をアウトプットの形に変換
情報収集を行い、その情報を理解してくると、自然と自分の中に「自分は~と思う!」という、「自分の考え」が生まれてきます。
こうなった時、次にやることは「自分の考えをアウトプットの形に変換する」という作業です。
自分の頭の中にある「自分は~と思うんだけどなぁ」という考えは、とても感覚的で曖昧なものです。
そのため、そのままでは説得力に欠けます。
ここで重要になるのが…
- 「答え」+「その理由」
という形です。言い換えるなら…
- 「答え」+「その根拠」
とも言えますね。
頭の中にある状態の「自分の考え」は、根拠や理由が不明確になったままで、単に「自分は~と思う!」という部分だけが浮かび上がっています。
このような状態の「自分の考え」に対して理由や根拠を明確にし、付け加える事で、一気に説得力が増し、相手を納得させるパワーが生まれます。
このように、自分の頭の中の考えを、他人に説明したり、納得させるために必要な「私は~と思います。なぜなら…だからです。」という表現に変換する。つまり、アウトプットの形に変換する。
これで、面接試験で使える「自分の考え」が完成しました。
「自分の考え」の自己分析まとめ
最後に、「自分の考え」に関する自己分析方法について、まとめてみます。
- 現状を把握(自分に不足している「考え」を明確にする)
- 情報収集(不足している「考え」に関する情報を収集)
- 「考え」が閃くまで時間をかける(情報を収集する事で、自動的に「考え」が閃く)
- 閃いた「考え」をアウトプットの形に変換(「考え」の根拠や理由を付加)
- 情報収集とアウトプットの繰り返し…
以上のような感じですね。
ただ、ここで紹介した自己分析はあくまで自己分析。
「自分の考え」というのは、アウトプットしてなんぼです。そのため、模擬面接を活用して、しっかりアウトプットしていくことが必要不可欠になると思います。